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「オーバー・フェンス」 [上映中飲食禁止じゃ!]

邦画なら、公開前から評判の「怒り」より、やはりこちらの作品を真っ先に観たくなる...
ヒット作の蔭に隠れた秀作である[exclamation×2] 
 
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これまで好きなように生きて来た白岩(オダギリジョー)は妻にも見放され、東京から生まれ故郷の函館に舞い戻る。彼は実家に顔を見せることもなく、職業訓練校に通学しながら失業保険で生活していた。ただ漫然と毎日を過ごしてしていた白岩は、仲間の代島(松田翔太)の誘いで入ったキャバクラで変わり者のホステス聡(蒼井優)と出会い……。(シネマトゥデイより) 
 
「そこのみにて光り輝く(2014年)」の強烈な余韻が今でも胸に残る。絶望的な哀しみの中で生き続ける市井の人々の微かな希望に、そっと陽を当てた佐藤泰志の原作。上映館が限定されながら、2014年度の映画賞を総なめしたが、呉美保から山下順弘に監督が替わった今作も、佐藤文学のエッセンスが活かされた傑作に位置付けられるであろう。
 
完成度の高さは、主役を演じたふたりの俳優の演技力抜きには語れない。
 
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ただ生きているだけの男...
本人に自覚は無くても社会の枠組みの中で、「仕事人間」として生きてきた白岩。いつしか妻の心は壊れ、家庭を棄てる道を選び、東京から故郷・函館に帰る。一から出直すつもりで、職業訓練学校に通い始め、専門技術を学んではいるが、具体的な将来設計など何も無い。昼は漫然と学校に通い、夜は殺風景な自室から函館湾を眺めながら、コンビニ弁当を缶ビールで腹に流し込む無為な日々が続く。別れた妻子への愛惜を断ち切ったと自分に言い聞かせるが、やりきれぬ想いに常につきまとわれる。
なんとも煮えきらぬ情けない男をオダギリジョーが好演。2枚目顔ながら好感度が大きく分かれる俳優だが、今作ではトレーマークの個性的な髪型とヒゲが、だらしなさを増幅させる効果につながっている。
 
この自堕落なバツイチ男が、場末のキャバクラ嬢に惚れられる。ときおり奇行に走り、巷では「ヤリマン」女と揶揄される女性の一途な恋心に、白岩は胡散臭さを感じつつ、徐々に彼女に惹かれていく。この変人役を蒼井優が熱演を超越した神的演技を披露した。
 
「そこのみにて...」の池脇千鶴も凄かったが、今作の蒼井優は桁外れ[ぴかぴか(新しい)] 
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「花とアリス(2004年)」で性格俳優の片鱗を見せ、
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「フラガール(2006年)」の熱演で皆を感動の渦に包んだ
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多様な役柄に挑戦する為、あえて作品を選ばないような膨大なTV・映画出演作の中には駄作も多いが、この20代での豊富な経験が、30歳を迎え、大女優の仲間入りとなった最大の要因であろう。一時、中途半端にお美しく[あせあせ(飛び散る汗)]なられて、絶世の美女に仕立てられる役柄が多く、「全く似合っていない」と小生は憤慨もしたが、やはり彼女は、プロフェッショナルな「性格俳優」 なのだ。
 
情緒不安定、いきずりの男で寂しさを埋めつつ、どこかで「本物」を求めている。昼間の仕事は、遊園地の切符切り。実は、地味で真面目な彼女が、白岩との本気の恋に目覚めた時、迷うことなく真っ直ぐにオンナをさらけ出し、男に向かってくる迫力。一方で、自分を過度に穢れたモノと思い込み、突然に台所で行水し、取り憑かれたように体の汚れを落とそうとする壊れかけた女。この難しいキャラクターを、観客に違和感無く見せる彼女の演技力の高さ、というより役柄に完全同化する底知れぬ能力に驚かされる。聡のお得意のモノマネである不恰好な「鳥の求愛ダンス」を、これほど美しく、哀しく演じる女優は稀有だ[ぴかぴか(新しい)]
 
松田翔太、北村有起哉、満島真之介、松澤匠ら脇役陣が、皆ひと癖もふた癖もある白岩の学校仲間を好演。一番の年長者を演じた鈴木常吉。何と無く見覚えがあったが、「イカ天」で3周勝ち抜いたセメントミキサーズのヴォーカルだったとは、ちとビックリ[exclamation×2] 世代は違えど、それぞれ事情を抱えて職業訓練学校に通う彼らの一面をサラリと垣間見せるバランス感溢れる演出が見事である。巨乳アイドルからバラドル、志村けんの愛人かと思いきや大河ドラマに出演と、一歩づつ演技派女優の道を進む優香も、白岩の別れた妻役で存在感を示した。 
 
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生きる目的を失った者たち。されど生き続けねばならない現実。ただ流れる虚しい日々。
そんな中で見つけた生きる喜びの小さな愛の灯り。もしかすると感違いかもしれない。簡単に消えてしまうかもしれない。白岩と聡の恋の道のりは、この先も険しいに違いない。お互いを傷つけあい、更に悲惨な結末を迎えるだろう。だが、二人を包む煌めきは神々しく、この一瞬は何にも遮られる事はない。「今を生きる」素晴らしさを高らかに謳った、非常に純度の高い作品であり、自然と身体が温まる気がした。
 
音響も函館弁も心に響く
「学校の外にはな、おまえが思っているより色んな人間がいるんだよ。」・・・鈴木常吉爺談 
哀しくも胸踊る素晴らしき人間賛歌〜溢れる魂の映画です[exclamation×2]
 
 
 

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「スーサイド・スクワッド」 [上映中飲食禁止じゃ!]

もっと下品ではしたない映画だと期待していたが、
意外と真面目な作りで少々肩透かしをくらってしまった...[ふらふら]
 
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いきなり、アニマルズ「朝日のあたる家」のギターが響き渡り、否応なしに気分が盛り上がる[るんるん] 
 

世界崩壊の危機が到来。政府は、最強のスナイパーであるデッドショット(ウィル・スミス)や、ジョーカー(ジャレッド・レトー)に夢中のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)ら、服役中の悪党たちによる特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成する。命令に背いた者、任務に失敗した者には、自爆装置が作動するという状況で、寄せ集めの悪党たちが戦いに挑む。(シネマトゥデイより)

アメコミの熱烈なるファンではないので、冒頭の『スーパーマン亡き後の世界に〜」という設定に???と、バットマンが登場し、犯罪者を逮捕していく場面が描かれ、更に??? う〜ん難解だ[ふらふら] 今春公開「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」未見につき〜
要するに、スーパーマンとバットマンは同世界・同時代に生きていた正義の味方であり、「アベンジャーズ」のヒーロー達とは別世界なのだと、理解するのに少々お時間が...[あせあせ(飛び散る汗)] 後から知ったのだが、DCコミックスとマーベル・コミックという出版社の違いが、そのまま映画の世界に繋がっているわけなのだ。
 
そしてDCコミック系の今作は、正義の味方不在の時代、バットマンらの敵役達が世界を救う逆転の発想の物語である。
そういう設定であるから、悪役のキャスティングは、濃いめの俳優陣だ。
 
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しかし、実は全員、いい性格の奴ばかりなのだ。
 
明確な主役は存在しない。悪の道に染まった登場人物達は、各々の暗い過去を引きずっており、劇中でそれが明らかにされていく。観客の一人一人は、お気に入りを決めて感情移入すれば良いのである。悪役陣への光の当て方がバランス重視の演出な為、逆に映画全体の抑揚の弱さにも繋がっているのも事実だが...
 
ウィル・スミスは、この手の配役はベストマッチだ。正義感の強い家族思いの悪党を演らせたら、彼の右に出る者はいないと思わせるメリハリの効いた演技で、ストーリーの流れを作った。
 
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そして、男性諸氏の視線を釘付け〜ハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビー
このチョイとムチムチ系ブロンド美人は、小生のツボでもあります[どんっ(衝撃)] 
 
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イかれる以前のインテリ女医の姿も良かった。
初見は、隠れたラブ・ファンタジーの名作「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」での主人公の初恋相手役だったが、知らぬ間に芸風が広がっていてびっくり[がく~(落胆した顔)]
 
 「アバウト・タイム(2013年)」
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 [キスマーク]素顔も堪りません[キスマーク]
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 「ターザン」を見逃した...反省[ダッシュ(走り出すさま)]
 
ジョーカー役は、まともな俳優には出来ない。
過去作でのジャック・ニコルソン、キース・レジャーの怪演は、映画史に残るものだが、今作はジャレッド・レトだ。「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でのエイズに冒されたトランスジェンダー役に匹敵する鬼気迫る演技[どんっ(衝撃)] ハーレイ・クインと恋人同士の設定で、また新しい「ジョーカー像」を示してくれた。
 
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オスカー受賞も頷けた[exclamation]
 
さらに...
怪力クロコダイル兄さん、ぬいぐるみフェチのブーメラン男、内気な火の玉おじさん、と個性豊かな悪党集団を、魔女に取り憑かれた女性学者に府抜けにされた隊長さんが率いて、謎の人類の敵に立ち向かうストーリーだ。
 
俳優陣の好演と圧倒的な戦闘シーン、それらを盛り上げる往年のロック・ミュージックの数々。これらと比較すると、脚本・演出が弱い、弱すぎる。先が読めてしまう展開、キャラを個々に説明しすぎて、彼らの魅力も分散。「スーサイド・スクワッド」=「自殺部隊」とネーミングしている位だから、もっと彼らの「狂気」「キチガイぶり」を描かないと、死地に向かう戦闘の説得力、要するに盛り上がりに欠ける。隊長の涙にほだされて戦うなんて、青春TVドラマで不良学生が先生の真心に触れて改心するのと同じレベルだ。
 
元々濃すぎる悪役達を魅力的に実写化するには、映倫G(一般向き)の制約では無理があったようだ。トコトン下品に無軌道に行動し、「死ぬのも一興」の遊び心で戦って欲しかったな。残酷シーンもエロチック描写も皆無(マーゴットの見えないお着替えシーンくらいでは物足りない[ダッシュ(走り出すさま)])〜不完全燃焼である〜
潔くR15+で行くべし[むかっ(怒り)] 
 
キック・アス(2010)」のように「お下品」と「シビア」を極端に描き、ストーリーの振幅を大きくするか、「ダークナイト(2008)」並みに胸が張り裂ける位のシリアスさを追求しないと、大人も楽しめるアメコミ映画にはならない。
 
俳優陣が素晴らしいだけに、少々残念な作品であった。
 
[るんるん]音楽はいいですよ[るんるん] 
 
 
◎オマケ
 
どうしてもマーゴット・ロビーに目を奪われがちだが、こちらのブロンドも個人的にはお気に入りですがな[わーい(嬉しい顔)]
 
カーラ・デルヴィーニュ・・・ロンドン生まれの24歳。ファッションモデルから女優業に転身中。
 
エンチャントレス/ジューン博士
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 その正体は...
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 性格キツそうだがいい娘です[キスマーク]
 
 

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「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 [上映中飲食禁止じゃ!]

〜製作者の意思がストレートに伝わってくる、非常に純度の高い秀作である〜
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恋愛手帖』で第13回アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽名で執筆を続け、『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。(シネマトゥデイより) 
 
国内では、よほどの映画マニアでなければ知らない事実。
名作「ローマの休日」の脚本家イアン・マクレラン・ハンターは名義を貸しただけで、真の作者が別に存在した事を...
 
 
類稀なる才能を持つ売れっ子脚本家トランボであったが、社会主義を支持する活動に加わった為、映画協会から白眼視されていく。時代は米ソ冷戦の真っ只中。民主主義を標榜するアメリカで、自由な言論・思想が弾圧され、「赤狩り」と呼ぶ人権の剥奪が公然と行われていた。多くの文化人・知識人がいわれのない「スパイ容疑」で裁かれた。トランボの周辺も例外でなく、業界の仲間達は職を失い、路頭に迷った。交換条件で活動メンバーの名前を吐き、罪を免れた友人も現れた。「意思の男」トランボは自説を曲げず、ついには、議会侮辱罪で投獄される。出所すれば、事実上の映画界追放の身。彼は、家族を養う為に、友人の名を借り、作品を提供し、更に弱小映画会社に偽名を使い分けて多くの脚本を提供していくのだった。
彼の終わりなき戦いはいつまで続くのか、果たして、名誉を回復する日が来るのであろうか... 
 
まず、トランボ役のブライアン・クランストンがハマり役だ[ぴかぴか(新しい)]
 
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良作の脇役での出演が多く、メガネを外したシーンで、ようやく見覚えのある俳優だと気づくほど、今作の主人公に成りきっている。
 
プライベート・ライアン(1998年)
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ドライブ(2011年)
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アルゴ(2012年)
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 ゴジラ(2014年)
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連続TVドラマ主演作「ブレイキング・バッド」が、多くの賞を総なめし、満を持しての映画初主演。芸達者な名脇役が、還暦にして超遅咲きの大ブレイクという感じなのだ。申し分なしの演技力[パンチ] 偏屈で頑固な天才脚本家の生き様を、まさに自然に演じている。
 
この偏屈親父を支える家族・・・
妻役のダイアン・レインが実に素晴らしい。
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有名女優の割にヒット作に恵まれない不運な女優さんだ。これは、デビュー直後の10代からフランシス・フォード・コッポラ監督の目に止まり、巨匠の作品の常連になりながら、すべて興行的には大コケした呪縛のせいなのか? 
 ランブルフィッシュ(1983年)
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ストリート・オブ・ファイヤー(1984年)
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五十路を超えて、この清潔感とはかない色気の発露は奇跡的だ。アメリカの貞淑清廉妻の鑑のような演技だった[ハートたち(複数ハート)]
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そして長女役のエル・ファニング
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デビュー時から見つめ続けて〜ようやく18歳になりました。天才子役として一斉を風靡した姉のダコタ・ファニングと比べ地味なイメージが先行するが、この「奥ゆかしい」演技傾向は日本人好みかも[揺れるハート] 
 
 アイ・アム・サム(2001年)
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幸せへのキセキ(2011年)
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そういえば、彼女もコッポラ監督に見初められていた...しかもコケた[もうやだ~(悲しい顔)]
ヴァージニア(2011年)
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少々心配だが、まだまだ伸びしろ豊かな小生好みのブロンド女優だ[黒ハート]
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彼らを取り巻く俳優陣もユニークだ。
ヘレン・ミランが「赤狩り」に執念を燃やすコラムニスト
本当に憎々しい素晴らしい演技[exclamation×2] 
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B級映画会社オーナー=ジョン・グッドマン
銭ゲバのくせに作品への造詣が意外に深くて笑います^^
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ジョン・ウエイン=デヴィッド・ジェームズ・エリオット 
アメリカの英雄も今作では不見識かつ頑愚な俳優組合長
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取り憑かれたように創作活動に没頭するトランボ。家族の名誉を守る戦いのはずが、本名を公表できぬ十字架を背負った彼の存在理由を自身で納得させる為の作業に変わり果て、徐々に家族を省みる事を忘れていく。「自分は名を明かせぬ世界一の脚本家だ」と。そんな折に、偽名でマイナー映画会社に供給した作品「黒い牡牛」がアカデミー賞を受賞する。身内だけの祝いの中、彼は、守っていたつもりの家族に、実は支えられていた事に気づく。そして長女が漏らした言葉に父親は愕然となる・・・「本名を公表しても、今、お父さんを邪魔できる人は何処にもいないんじゃない?」 投獄から13年、ダルトンの復帰パーティーでのスピーチは、「誰も非難しない」人道主義に溢れた極めて民主的な内容だった。
 
男の誇りを賭けた飽くなき戦い。
実態は、情けない親父を、暖かく見守り励ます家族のドラマ。
傍目はシリアスさを装いながら、実は情けない男の物語だ...と、主人公と同類の小生は恥じ入った次第なのだが[あせあせ(飛び散る汗)]
 
但し、その背景にあるアメリカの黒い歴史。ソビエト連邦の影に怯え、ヒステリー状態を引き起こした国家は、自家中毒のように思想マイノリティーを傷つける事を愛国心の証とした。核ミサイルの練習に勤しむ隣国や東シナ海を勝手に埋め立てる大国の思想弾圧との違いは、いかほどのものか? 
 
唯一の違いは、「赤狩り」を扇動したマッカーシー上院議員を後年失脚させたような自浄作用が、アメリカ民主主義の底流には存在する。だが、当時のマッカーシズムの協力者としてウォルト・ディズニー、ゲイリー・クーパーそして後の大統領となるリチャード・ニクソンやロナルド・レーガンらの名が連ねられ、まさしく彼らがアメリカ国の本流と成っていったのも、紛れもないアメリカ史なのである。
 
読み解くと、非常に深〜い作品であった[かわいい][かわいい][かわいい] 
 
 
 

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「君の名は。」&「イレブン・ミニッツ」 [上映中飲食禁止じゃ!]

 [ぴかぴか(新しい)]好対照ながら、素晴らしい作品を立て続けに鑑賞できた[ぴかぴか(新しい)] 
 
まずは、新海誠監督の新作〜傑作である[exclamation×2](すでに2回目の鑑賞です)
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以前、BS放送で「秒速5センチメートル」を途中から偶然に観て、緻密な描写と切ないストーリーに引き込まれた。新海作品は初見であったが、単なる恋愛ものを超越した彼の独特の世界観と表現力に強い共感を抱いた。ようやく、大スクリーンでの彼の新作の鑑賞が叶ったが、想像を遥かに上回る感動を与えてくれた。
 
1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。 (シネマトゥデイより)
 
作画監督が「秒速〜」の西村貴世ではなく「千と千尋の神隠し」「思い出のマーニー」の安藤雅司、デザインが田中将賀となり、冒頭、ジブリ作品かと戸惑うキャラクターに少々戸惑う。だが、遠隔地に暮らす見ず知らずの二人の高校生の日常が、新海氏得意の緻密な背景と共に丁寧に描かれ、その二人の数奇な関係が徐々に明らかになる頃には、完全に映画に引き込まれたていた。
 
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遠隔地に住む、お互い見ず知らずの高校生の男女が週に何日かの頻度で人格が入れ替わる...
 
人格入れ替わりの物語は使い古された設定であり、決して目新しいものではない。男女入れ替わりSFファンタジーと言えば、大林宣彦監督「転校生(1982年)」だし、変わった展開なら、いかつい男同士のニコラス・ケイジ×ジョン・トラボルタの「フェイス/オフ(1997年)」、そうそう、4年前の韓国連続ドラマ「シークレット・ガーデン」にもハマりました。 その他、この手の作品には推挙にいとまがない。
 
当作品も、練りあげられた緻密なアニメーション、笑いと切なさを織り込んだ純愛を描いた良作として、前述の過去作と並び、小生の記憶の片隅位には残るはずであった。前半部までなら
 
だが、中盤からは、一気に和やかな恋愛ストーリーが暗転する。
或る日を境に、忽然と、二人の入れ替わりと交信は途絶えてしまう。 男子学生・瀧は、微かな記憶を元に、彼女を探す旅にでる。そして衝撃の事実・・・リアルタイムで入れ替わっていたはずの二人には3年間の時間差があったのだ。しかも、女子高生・三葉は、3年前の災害により、既にこの世には存在していなかった。
 
中盤からの緊迫度は、まだ傷跡残る5年前の東日本大震災の私たちのイメージとも重なり、重苦るしくかつとめどもない切なさを増幅させる。「事実」を突きつけられた瀧青年は、それでも「彼女の想い」に引き寄せられるように、消えた町の鎮守の森の神殿に辿り着く。 神の宿る地で、彼が見たものとは・・・果たして夢か現実か奇跡か・・・
 
ネタバレはギリギリここまで。
 
喜劇から悲劇へ、そして感動のフィナーレと連なる長編劇の見本のような展開である。だが、観客にひねた先読みをさせる暇を与えず、ストーリーに引き込む映像の説得力。ありふれた男女入れ替わりの設定に、中盤から、これまたありふれたタイムトラベルの要素を付け足した、ありふれた同士の有りえなかった組み合わせが無限のパワーを生み、斬新に感じさせてしまう新海マジック!
 
声優陣も破綻なく、登場人物の内面を素直に表現している。神木隆之介・上白石萌音は高校生らしく、市原悦子はベテランの味、長澤まさみは色っぽくてよろしい〜
 
 瀧のバイト先の先輩・奥寺=長澤まさみ[揺れるハート]
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三葉の住む田舎町は岐阜県飛騨市。名古屋転勤時代に何度か通った地域なので親近感が湧く。但し、飛騨には劇中の「糸守町」のような大きな湖を囲む町は存在せず、長野県諏訪もしくは青島をモデルにしたと言われている。現実の町のイメージから架空地域を創造する手法はジブリ作品にも見られる傾向だ。
 
 糸守町・宮水神社のご神体が在る森
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 青島
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三葉は、糸守町の鎮守である宮水神社の巫女の末裔である。家族で「組み紐」を編む姿、口噛み酒の神事が、前半部に丁寧に描かれ、喫茶店も無い田舎町でひっそりと引き継がれている日本の伝統を現代の若者にも伝え、それが後半の重要な鍵となる憎い演出。
 
 「組み紐」はこのように作ります
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そして、田舎との対比で描かれる「東京」の美しさ。日本の原風景といえば、ジブリの男鹿和雄だが、都会をここまで哀愁たっぷりに描けるアニメーターは、新海氏を置いて他にいない。
 
 東京育ちの私にとって此処が故郷なのだ
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音楽は「RADWIMPS」・・・恥ずかしながら、日本のロックバンドは、ほとんど聴かないので...未知でした。だが、この映画の為の創作らしく、見事に映像と同化している。「秒速5センチメートル」の「スガシカオ」同様、新海氏の音楽センスにも非常に好感を覚える。
 
「秒速〜」は、すれ違う男女の機微を描き、切なすぎるラストシーンが強烈だったが、新海氏は今作では我々に新しいメッセージを送ってきたようだ。それは多分に、東日本大震災の影響は否定できないのだが、やむくもに「絆」や「ガンバロー」を聖人ぶって連呼する作品より、遥かに心地よい。 
人間同士の「結」と同等に、人と自然、神、時間との「結」も主題にし、感性豊かな今時の若い人に非常に評判が良いのは、エモーションよりスピリチュアルが流行る時代背景も一因かもしれない。
 
どんなに楽しい夢も醒めてしまうと、ほとんど内容を覚えていない。ただ楽しかったという感触だけが仄かに残るだけだ。あれ程想いあった二人も、お互いの存在も名前も忘れてしまう。自分には大事な人がいるはずという思いだけが常にまとわりついているのだが。そんなふたりが現実の世界で偶然に出会ったとしたら...
こんなベタなエンディングを正々堂々と見せられて、感涙にふせるしかない小生だった[たらーっ(汗)][たらーっ(汗)] 
 
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感動を呼び寄せた最大のポイントは、時間軸ごとのチャプターの上映順序である。多くの観客は、自分の予想する展開を何度か裏切られ、喜び悲しみを繰り返し、最期には感動的なフィナーレの目撃者となって至福の時を味わうのである。この緻密な脚本・演出は、受けを狙い過ぎたあざとい一面を感じられなくはないが、結果として小生のようなオッさんでも、エンドロール時は痺れっぱなしだったのだから、製作者の皆様の圧倒的勝利である。個人的には、高畑勲「かぐや姫の物語」の感動を凌駕した日本アニメ映画の傑作となった。
 
中途半端なネタバレはご勘弁戴きたい。 
新海氏渾身の初メジャー長編作...多くの方に観てもらいたい。
日本アニメ史に燦然と輝く傑作として後世まで語り継がれることに間違い無いのだから。
 
 
 
 
「君の名は。」がポピュラーな傑作とすれば、こちらの作品は、マイノリティー向きの大傑作[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2]
 
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女たらしの映画監督、やきもち焼きの夫、刑務所から出てきて間もないホットドッグ屋、強盗に失敗した少年など、現代の大都会で事情を抱える11人の男女と1匹の犬。午後5時から5時11分まで、わずか11分の間にそれぞれの人生が絡み合い……。(シネマトゥデイより) 
 
「君の名は。」以上にネタバレしたら、映画の魅力が200%消え失せてしまう。 ゆえにネタ無しです[あせあせ(飛び散る汗)]
ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが叩きつける衝撃サスペンス。一見、ストーリー性は皆無。名も無き一般市民11名のそれぞれの11分間の行動を81分の映像に落とし込んだ。随所に見られる斬新なカメラワークは、まるで前衛写真を見ているようで、対象に向けるユニークな視点に心を奪われてしまう。練りこんだ映像に合わせられた音楽がまた秀逸だ。ひとつづつのチャプターを、別個の完成されたミュージックビデオのように見せつつ、11人のバラバラの運命を、ひとつのカタストロフィーに向けて収束させていく表現法は、まさに奇跡的な悪夢を目の当たりにしているように空恐ろしい限りだ。 
 
ポーランド・アイルランド共作ゆえ、未知の俳優ばかりだが、みな魅力的だ。
 
助平な映画監督と色気ムンムンの女優
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パウリナ・ハプコ(ムチムチブロンド[揺れるハート]
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 スリムな女性登山家
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 アガタ・ブゼク
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病的に嫉妬深い女優の夫・・・元はと言えばこいつのせいで...
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百聞は一見に如かず...未だ嘗てない衝撃映像。上映館は限定されているが、映画マニアには必見の作品だ。(カップルでの鑑賞はオススメしませんが[ダッシュ(走り出すさま)]
 
この映画も、あと2回位は観たい...あの黒点の意味は一体???
 
 
 
半端なレビューですみません[ふらふら]
両作品とも「時間と運命」が主題であり、計算しつくされた映像と演出は甲乙つけがたいレベルの高さ。そして全く正反対の鑑賞後感をもたらす秀作だ。是非、実際に鑑賞して、「映画の素晴らしさ」を比較し、堪能していただきたい[ぴかぴか(新しい)] 
 

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「シン・ゴジラ」 [上映中飲食禁止じゃ!]

早々に噂の作品を鑑賞です^^
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私世代は「怪獣モノ」に滅法弱い。
ゴジラ」「ウルトラマン」シリーズに慣れ親しんだ我々にとって、「怪獣」は少年期の哀愁そのものなのだ。そして青年期に衝撃を受けた「エヴァンゲリオン」の庵野秀明が、その『ゴジラ』を作ったと聞けば、これは観ないわけが無い。
 
東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。 (シネマ・トゥデイより)
 
「新・ゴジラ」「進・ゴジラ」「神・ゴジラ」「真・ゴジラ」 ・・・色んな解釈が生まれるが、謎掛けは庵野氏の十八番だ。エヴァ同様、観客自身が勝手にひとりよがりに決めつければ良い。明解な答えなどは用意されていないのだから。
 
大人の映画である。
初代「ゴジラ(1954年)」や「ウルトラセブン」に通じる、芸術性と社会風刺を織り込み強烈なメッセージを送ってくる作品だ。
 
首都東京の未曾有の危機でも、会議を繰り返し、縦割り社会や形式から逸脱できない官邸と官僚。日本の政治が、未確認生物上陸に右往左往する序盤などは、決して小学生では理解できない退屈間違いなしの展開だ。私が子供の頃に楽しんだ娯楽映画「ゴジラ・シリーズ」とは根本的な違う制作意図を感じる。
そんな平和ボケした日本の中枢にも、組織に染まらず形式にも拘らない救国に燃える若き政治家・官僚・研究者達が力を発揮し始める。中心に立つのは、内閣総理大臣補佐官・赤城(竹野内豊)と内閣官房副長官(長谷川博巳)だ。両名共、出世に燃えるエリートだが、共通するのは、母国の将来を憂える熱き心。
 
とにかく「東宝に世話になった連中は、ちょい役でもいいから出演しろ!」指令があったかのような豪華キャストである。(俳優探しクイズとしても一見の価値あり[わーい(嬉しい顔)])たかが怪獣映画と言うことなかれ。初代「ゴジラ」には、宝田明、志村喬など名優が出演しているのだ。数多の名優と自衛隊全面強力により、作品のリアリティーは邦画レベルでは極限状態だ[ぴかぴか(新しい)] 
 
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一方の新生ゴジラは、進化するゴジラだ。70年代の人気ゴジラ君は、侵略者キングギドラを撃退する人類の味方であり、強靭と愛らしさを内包したヒーローだった。 しかし、当初、巨大水棲生物として登場したシンゴジラが、二足歩行を始め徐々に巨大化し、ついには光線と炎を発する無軌道な破壊怪獣へと進化する姿は、まさに初代「ゴジラ」に先祖返りした感である。
 
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自国の戦力では、ゴジラを止められない日本に対し「日米安全保障条約」により、アメリカ軍が合流。だが、米軍最新鋭の火力は、ゴジラの怒りを増幅し、更に強力な進化を遂げた彼は、首都東京に壊滅的な打撃を与え、首相を含めた日本のリーダー達を一瞬に消し去るのだった。 
 
それでも、直ぐに次の内閣が組閣され、国中が大混乱に陥らないのが、日本のシステムの誇るところだ。何かと批判の的になるが、我が国の官僚組織の優秀さは世界トップレベルなのだ。だが、徐々に国際的圧力が増し、核兵器使用でゴジラを壊滅させる決議が国連で成される。それは、死の灰が東京を覆い、Tokyoが世界地図から消失する事を意味する。大国のエゴが見え隠れする中、タイムリミットまであと僅か。残された日本の政治家・研究者達は、果たして、核使用前に「シンゴジラ」を止められるであろうか・・・ 
 
さて、アメリカ側の交渉相手が米大統領特使カヨコ・アン・パターンソン。今や旬の女優である石原さとみが日系三世のエリート官僚を演じる。彼女の存在が、このガチな作品に良くも悪くも彩りを加えている。
 
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いいオンナになったなぁ
本当にイーオン通って良かったね
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息をつかせぬ展開はお見事!音楽は初代ゴジラのリメイク、オリジナル共に非常に臨場感溢れるものだ[るんるん]「エヴァ」の挿入曲まで使用し、「ファン・サービス」を忘れない念の入れよう。昭和の香りを漂わせる円谷直伝の「特撮」と最新のVFXの合体は、ハリウッドのそれとは一線を画すジャパン・オリジナルに胸を張りたい。
 
登場人物の設定が、すべて日本の「エリート」ばかりで、一般市民には全く光を当てていない。そしてほとんど色気の無い作品だ。唯一の潤いは、石原さとみ嬢の唇[キスマーク]のみで、「エヴァンゲリオン」のヒロイン風なキャラは皆無、シンジとレイの仄かな恋愛劇のようなウエットな演出も存在しない。要するに「家族」も「恋人」も廃し、「日本国」を描いた極めて「政治的・右翼的な作品」である。この硬派な作りは、好き嫌いが分かれるところではあろう。 映画的な深みは無いが、このストレートなメッセージは、宮崎駿氏から次代のトップクリエイターと指名された庵野秀明が、エヴァの焼き直しのみに安穏せず、新たな領域への挑戦宣言と小生は受け取りたい。その意味も含めて、今作は非常に感慨深いものであった。
 
ゴジラの正体が、核廃棄物を海中で摂取した微生物の進化形であり、しかも人類の遺伝子情報の8倍を持つ事が明らかになっていく。ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験時(1954年)に被曝した第五福竜丸事件が、初代「ゴジラ」のモチーフにつながったと言われているが、今作でもオリジナルの精神を下敷きにしながら、更に未曾有の「福島原発事故」の傷跡から未だ抜けきれないニッポンに、「神の火」を宿した神ゴジラは「咆哮」を続けるのだ[どんっ(衝撃)] そして、それを止められるのは、自国の民達、日本人の叡智と勇気なのだ。
 
折しも、鑑賞後に「安倍第二次改造内閣」と総理・新東京都知事の面会のニュースがメディアに流れた。
日本の将来を在るべき姿に導く日本のリーダー達に、どれだけの「憂国の士」がいるのだろうか? などと、娯楽映画の後にそんな思いに耽るのであった。せめて我々は、純粋な「公僕」を見極めて選挙に行かねばならんな[ひらめき]
 
 
 

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『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』 [上映中飲食禁止じゃ!]

独鑑賞予定の作品では無かったのだが、突然、カミさんが観たいと言い出したので...
 
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ワンダー号での3年に及ぶ船旅からロンドンに帰郷した後、青い蝶アブソレムにマッドハッター(ジョニー・デップ)のことを聞いたアリス(ミア・ワシコウスカ)。マッドハッターは、ワンダーランドで死んだ家族の帰りを待っていたのだ。ワンダーランドに着いたアリスは、白の女王(アン・ハサウェイ)たちから頼まれ、マッドハッターの家族をよみがえらせるべく、過去を変えようとする。時間の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)から時間をコントロールできる“クロノスフィア”を盗み、時間をさかのぼったアリスだったが……。(シネマトゥデイより) 
 
久々の3D鑑賞。
荒れ狂う海の中をアリスの捨身の操船で、海賊船の襲撃から間一髪、難を逃れるワンダー号〜オープニングから3Dならではのど迫力映像を見せつけられ、早くも身も心も「映像のワンダーランド」へ吸い寄せられてしまった。【ここでジョニー・デップ登場ならそのまま「パイレーツ・カリビアン・シリーズ」突入なのだが...( ̄▽ ̄)】 
 
一転、中世英国の鬱屈とした光景の中で、ひとりカラフルな衣装で際立つアリス。芋虫から青い蝶へ変態したアブソレムに誘われ、元婚約者ヘイミッシュ宅の一室の鏡の中に飛び込むと...そこは慣れ親しんだ「不思議の国」。
 
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ところで、アブソレムの声に聞き覚えが...隣の妻もブツブツ言っていたが...あのハリー・ポッターシリーズのスネイプ先生ではないか...名優アラン・リックマンは今年1月に急逝。最期の配役が、この美しくも不可思議な青い蝶となった。《黙祷》
 
さて、「不思議の国」に来れば、ティム・バートン十八番の世界だ。原色多様のセット、奇抜なコスチュームそして個性溢れるキャラクター達。この異様な世界が、やけに愛おしくなるのは、ティムの魔法の虜の証しか。
 
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音楽がまた素晴らしい。もちろんP!NKのテーマソングではなく、ダニー・エルフマンの挿入スコアだ。
緻密なオーケストレーションから紡がられる旋律は、シーンの抑揚はおろか登場人物の感情のひだまで表現する。映画音楽界のカリスマでもある彼の多くの作品の中でも、今作は秀逸の出来ではないかと... 
 
そして、アリス役のミア嬢を除いての名優陣は、前作同様に壮大な仮装大会を大いに楽しんでいるご様子だ[かわいい][かわいい][かわいい]
 
ジョニー・ディップも 
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アン・ハサウェイも 
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やっぱり小生のお気に入りは
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こんなにお美しいはずなのに〜
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ただし、この「赤の女王」の頭が、昔からこんなにイカれていた訳ではないのだ。 
マッドハッターの失われた家族を取り戻す為、過去の世界を奔走するアリスは、ワンダーランドの暗い歴史が「赤の女王」の幼少期に起きた「或る事件」が契機だと突き止める。
果たしてアリスは、消えた家族を探し出し、女王の氷のハートを元に溶かす事が出来るであろうか...
 
タイムトラベル系の映画は星の数ほどあるが、今回は「過去は絶対に変えられない」定義に基づいて制作されており、 演出面では、何処かで観たような名画のシーンが続出。時空旅行、サーフィン、大時計、トランスフォーマー、アナ雪の姉妹愛まで、更に、妻が言うには随所にナーサリーライム(英国童謡)を散りばめて、まさにごった煮映画の典型でもある。ご当地アメリカでの興行成績は全く振るわず、大赤字だったらしいのだが、ハリウッドの最新映像技術を「これでもか!」と詰め込んだT・バートンの世界を見せつけられては、映画の主題そのものが少々弱くても、小生は『大満足』なのである[ぴかぴか(新しい)]
 
休日の昼下がりのデート鑑賞には、うってつけの映画ではなかろうか[わーい(嬉しい顔)]
カミさんもご機嫌の様子で、鑑賞後、珍しくキャラクター・グッズなどをご購入でしたとさ。
 
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 2,900円也(ちゃんと動きます)
これまた珍しく奥様自腹買い〜0がひとつ付くと小生の支払いになるはずだが...[がく~(落胆した顔)]
 

 
 

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『二ツ星の料理人』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
Laby様のレビューに誘われて、夫婦50割鑑賞なのですぅ[わーい(嬉しい顔)]
 
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腕は確かなもののトラブルを起こし、キャリアを台なしにした人気シェフのアダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)。パリの二ツ星レストランから姿を消して3年後、起死回生を狙いロンドンの友人トニー(ダニエル・ブリュール)のレストランに乗り込む。世界一を目指してかつての同僚ら最高のスタッフを集め、華々しく新店をオープンさせるアダムだったが、過去のトラブルの代償が立ちはだかり……。 (シネマトゥデイより)
 
 
日本の連ドラにもありそうなシンプルなストーリーなのだが、自然と胸が熱くなる映画だ。
 
ブラッドリー・クーパーと豪華共演陣の織りなす演技の空気感が、作品のテーマでもある「本当の最高は、ひとりじゃできない料理を、そのまま『映画』に焼き写したからに他ならない。
 
ピンでも主役を張れる俳優陣が、前菜やデザートに成りきり、主菜のブラッドリーを引き立てる様は、まさにプロ料理人の神業とも言えるフルコース・ディナーである。
 
特に女優陣のバライティーに富んだ味わいの差は、小生を涎垂れ流し状態に陥らせるのである( ̄▽ ̄)
 
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アダム(ブラッドリー)シェフの片腕そして恋人となるヘレーネ役のシエナ・ミラー
ソース作りの天才と見込まれ、アダムに強引に引き抜かれるシングルマザー。アダムに反発しながら、徐々に彼に心を寄せていく役処なのだが、厨房では鬼女、家庭では優しいママを演じながら、パーティドレスを身に纏うシーンは、グッと「オンナ」に変身する。 それもそのはず、元々は脚線美を誇るカリスマモデルなのだ。
 
[揺れるハート]OH,Sexy Blonde[揺れるハート] 
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アダムの元恋人役で登場するのがアリシア・ヴィキャンデル
元恋人を気遣いつつも、お互いの為、きっぱりと決別する「意思のオンナ」を美しく演じた。  
 
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現在売出し中のスェーデン女優だ。 2015年、『エクス・マキナ』で各国映画賞を総なめ、続く『リリーのすべて』ではアカデミー助演女優賞を初ノミネートで一発受賞。2作とも未見とは、何たる不覚!
 
OH,Elegant & Sexy 
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アダムの弟子マックスの同棲相手として『シンデレラ』のリリー・ジェームスが一瞬登場!  
う〜ん、もっと観たかった[黒ハート]
 
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今作の隠し味的端役が、サラ・グリーン.....結構、タイプです[かわいい]
 
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そして、香辛料のように作品をキリッと引き締めたベテラン・ブロンド女優の二人。
 
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極め付けは、ユマ・サーマン...46歳、今でもお美しい[決定]
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そして、そして...男優だけど、今作では女性側に入れてもいいかもしれないダニエル・ブリュール。
 
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彼の親友アダムに対する切ない恋心があってこそ、成り立つストーリーなのである。 
 
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そうそう、大事な方を忘れてた...オマールシー...あなたのスパイスは効き過ぎだった!
 
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と、まぁ、これだけの素材を集めても、料理人が稚拙なら看板倒れのレストランになるが、ジョン・ウェルズ監督の洒落たレシピと手馴れた腕さばきで、見事な一流レストランが完成である。BGM(挿入曲)も良い。
 
それでも、やっぱり星は二つまでかなぁ...[かわいい][かわいい]
 
たまには、カミさんを洒落た店でも連れていかねばなぁ〜と、横目で見れば、ポップコーンで大満足風の奥様がおりましたとさ...^^;
 
〜追加の一皿〜
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[揺れるハート]ロンドンでのプレミア上映会に現れたブロンド美女[揺れるハート]
 
作品内では、アダムのライバルであるリースのレストランの給仕長役だったような???
実物の方が、光り輝いているではないか[ぴかぴか(新しい)]
 
 Bo Bene・・・映画初出演以外は詳細データ無し。
 
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う〜ん、タマリマセン
[ハートたち(複数ハート)]次回、出演作を望む[ハートたち(複数ハート)] 
 
 
 
 

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「シークレット・アイズ」 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
 久方ぶりの映画レビュー。いまだにマイナー指向です^^;
 
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アルゼンチン映画の傑作サスペンス『瞳の奥の秘密(2009年)』のハリウッド版である。
オリジナル作品は、小生の稚拙ブログ映画ランキングで2010年度第1位に輝いている。(http://tsumujikaze2.blog.so-net.ne.jp/2010-12-27
 
元FBI捜査官のレイは、13年前に親友のジェシカの娘を殺した犯人を捜し続けてきた。ついに犯人の手がかりを見つけたレイは、ロサンゼルスへと戻り、元恋人で検事のクレアと再会する。事件の真相へと近付いていくが、そこには驚くべき秘密が隠されていた。(ぴあ映画生活より)
 
今作の骨格は、当然ながらオリジナルと酷似しているのだが、完全リメイク版と違い、登場人物の設定・ストーリー展開は全く異なる。外国の傑作に敬意を表しつつ、推敲を重ねた跡が感じられ、非常に好感が持てる。前作を知らずに、初めてこの作品に触れれば、心打ち震える観客も多いのではないだろうか...と。
とにかく、オリジナルは残虐なシーンも多く、お子様・血肉嫌いな淑女にはハードルが高く、今作の方が安全に?鑑賞出来る。オスカー女優2名の競演が、映画に新しいパワーを植え付け、「衝撃のラスト・シーン」を知っている小生でも、十分楽しめ、前作とは違う味わい深さを感じる事ができた佳作である。
 
まずは、ニコール・キッドマン[キスマーク]
 
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いつまでもクール・ビューティー・ニコールですな。
13年前の事件と現在が交互に映し出されるのだが、ニコールの美貌だけは、時間が止まっております[がく~(落胆した顔)]
女優とは、かくあるべし...を地で魅せてくれた。 
 
そして、個人的には「ラスト・シーン」以上に衝撃だったジュリア・ロバーツ[exclamation×2]
 
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実は、キャストを確認せず、映画館に飛び込んだのだが、不覚にもエンドクレジットまで、彼女がジュリアだと気づかなかった。全くの別人!あえてスッピンで、老いやつれた母親を見事に演じた彼女の役者魂に拍手喝采[ぴかぴか(新しい)]
 
二人とも、実年齢は48歳。
『女優』を貫いたニコールと『役者』に成り切ったジュリアの対照的な表現法も見所である。
 
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...と、女優ネタばかりになってしまった^^;
 
スリリングな展開と衝撃のラストシーンに目が奪われがちだが、 この二人と主人公レイ(キウェテル・イジョフォー)のそれぞれの「言葉にならない想い」の交錯が、この作品の主要テーマなのである。
その意味で、俳優陣の演技は、オリジナルには及ばない緻密な演出面を補って余りある出来である。
 
当時、婚約者のいたエリート副検事(ニコール)に13年振りに再会し、「どうしてあの時に奪ってくれなかったの」などと言われては、男の立場が無いのであ〜る・・・と、重苦しいサスペンスにとどまらないロマンチックな隠し味も楽しめるのが今作の魅力だ。
 
それにしても、恐るべしジュリア・ロバーツ。 
 
 
 
 
今作が気に入った方は、是非、アルゼンチン版も観ていただきたい。
 
 

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『シンデレラ』 [上映中飲食禁止じゃ!]

 
女房に無理矢理誘われての鑑賞だったが...
素直に感動してしまいました(^▽^;)
 
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監督
ケネス・プラナー
脚本
クリス・ワイツ
 
キャスト
リリー・ジェームス ケイト・ブランシェット
リチャード・マッテン ヘレナ・ボナム=カーター
 
世界中で愛された童話でありながら、出自・起源が不明の物語。
数多くの出典があるが、シャルル・ペロー原作を1950年にディズニーがアニメ化した作品が、美しきロマンスとして「シンデレラ」のイメージを決定づけたと云っても過言ではなかろう。そのディズニーが、時を経て、現代の映像技術を結集しての実写映画を製作したわけである。
 
『Cinderella』が「灰かぶり姫」の意味であった事も知らなかった、へそ曲がりなオッチャンからすれば、「海外の「玉の輿」物語の何が面白いのじゃ?」 という鑑賞前の印象だったのだが、いやいや前言撤回、不純な親爺も心が洗われました...誘ってくれた女房に感謝・感謝[わーい(嬉しい顔)]
 
何と云っても、ヒロイン役リー・ジェームスと王子役リチャード・マッテンの清廉な演技が、原作キャラクター通りのイメージと見事にシンクロしたのが、今映画の最大の魅力だ。
 
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ほぼ無名に近いふたりの俳優のピュアな部分を抜き出した演出は、米ディズニー映画でありながらも、ケネス・プラナー監督の欧州的感性がブレンドされ、お仕着せがましくない非常に好感の持てるものである。
 
中世のヨーロッパの小国を想定しての時代考証にも違和感なく、自然描写や宮廷内の装飾には目を見張るものがある。そして、豪華絢爛な衣装とCGの合体。また配色に、独特の拘りが感じられ、特にシンデレラのイメージカラーである「ブルー」のなんと神々しい事か!
 
葦毛の駿馬と青い少女の取り合わせ
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魔法のパワーで...
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美しき王女へ
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華麗な舞踏会のカラーリング
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この「優しさと勇気」に溢れたロマンスを際立たせたのが、ケイト・ブランシェット演じる継母トレメイン夫人だ「欲と悪意」の塊のような貴族崩れの女性を、この名女優が憎々しくも美しく魅せてくれるのだ。
 
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彼女の存在が、スターウォーズのダースベイダーのように「私も昔から性悪だったわけじゃないけど、もうこう成らざる得なかったから貫くわよぉ」的な絶妙なワルぶりの演技で、今作の重要なアクセントとなっているのだ。
 
仮装癖が抜けないヘレナ・ボナム=カーターの怪演や、可愛いネズミ達・ガチョウ・トカゲの変身ぶりなど、随所に笑いを織り込む術も忘れず、ストーリーは誰もが知るエンディングに向かって真っ直ぐに展開していく。
 
原作通りの安心して観ていられる作品ながら、完璧とも言いたい演出と脚本により高次元の童話に昇華され、止めども無い爽快感が溢れ出て来る映画の計り知れないパワーに感謝感激[ぴかぴか(新しい)]
隣で、女房は感涙にふせっておりました[たらーっ(汗)][たらーっ(汗)]
 
やっぱり、ディズニーって凄い・・・と改めて感じ入った傑作でございました[どんっ(衝撃)]
 
 
観賞後、余韻醒めぬままに、映画館のそばのデパートへ女房の買い物の付き添いで〜す[exclamation&question]
なんとその店内に、映画「シンデレラ」の特設会場があり、多くの女性客で賑わっているではないか[がく~(落胆した顔)]
 
お馴染みの老舗百貨店
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映画で使用された「かぼちゃの馬車」の実物が展示され、写真撮影に長蛇の列。
ちなみに素敵な女性は女房ではありません( ̄Д ̄;;
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 Swarovski(スワロフスキー)製の「ガラスの靴」が販売されてました[ひらめき]
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 既に「売約済み」
 妻にせがまれずに助かりました[あせあせ(飛び散る汗)]
 
 
 
 

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『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 [上映中飲食禁止じゃ!]

昨年のオスカー候補作品を終映直前に滑り込み鑑賞[目]
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監督
モルテン・ティルドゥム
キャスト
ベネディクト・カンバーバッチ キーラ・ナイトレイ[黒ハート]
マシュー・グッド マーク・ストロング チャールズ・ダンス アレン・リーチ
 
第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが……。(シネマ・トゥデイより)
 
ほぼ無名のノルウェー出身のモルテン監督の初の英語作品である。
英語圏デビューを感じさせない英国調の格調高き映像を下地に、歴史に抹殺された一人の天才数学者の運命と彼の功績を、日の当たる世界に示した史実に基づいた秀作だ。
 
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アラン・チューリング(1912〜1954年)・・・ コンピューターの誕生に重要な役割を果たした英国の数学者。理系の学生ならいざ知らず、恥ずかしながらガチンコ文系の小生は、彼の存在を知らなかった。彼の多くの偉大な功績の中で、永年に亘り封印されていたのが、大戦中のドイツ軍の暗号拝読に関してである。
 
本作は、破竹の勢いのドイツ軍の進撃に対抗し、英国内で極秘裏に進められた暗号解読の舞台裏をプロジェクトのリーダーに任命されたアランの半生と共に描いた感動作である。
 
「時に想像しえない人物が、偉業を成し遂げる」
 
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圧倒的な演技だった...ベネディクト・カンバーバッチ[exclamation×2]
 
中学校時代、学年に一人ぐらい、とんでもない天才だが変な奴はいたものだが、アランは100万人にひとりいるかいないかの天才であり、飛び抜けての変人だった。コミュニケーション能力の欠如と高過ぎる自尊心により、一般社会からは奇異な目で見られる存在。彼の少年時代を並行して描く事により、徐々に形成され大人になったアランの人格を、ものの見事にベネディクトは表現しきった。
 
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外部と遮断された彼の世界の扉を開き、廻りの人々との橋渡し役となったのが、彼の最大の理解者であり、親友であり、婚約者となったジョン・クラーク。彼女も数理的能力に長けた大天才だが、一般常識を持った所謂才媛である。
そんな美と知を兼ね備えたジョンをキーラ・ナイトレイが演じる。
 
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アランと婚約した時点で、彼女も変人の仲間入りではあるのだが...難解なパズルを瞬時に解き明かす能力を買われ、暗号解読メンバーに加わったジョン。先天的な同性愛者であるアランとの性別を超えた信頼関係が熟成されていく様を、カンバーバッチとの見事な呼吸で、ごく自然に見せてくれた。
 
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婚約したとはいえ、世間の男女関係とは異質なので、今回は彼女の色っぽいシーンは封印[あせあせ(飛び散る汗)]だが、やっぱりキーラは美しい[ハートたち(複数ハート)]英国伝統の常にエレガントを纏った正統派女優の道をしっかりと歩んで欲しいと思う。地毛は黒髪だが、おじさんはずっと応援するのだ[パンチ]
 
ドイツ式暗号・・・エニグマの解読は至難の業な上に、アランの性格からメンバーとの諍いが絶えず、プロジェクトは何度も暗礁に乗り上げる。だが、ジョンという外連味の無い媒介効果により、メンバーの信頼感が徐々に醸成されていく。そして、或る晩のパブでの出来事...ジョンの友人のたわいない会話をヒントに、遂にアラン達は、エニグマを解き明かすのだった[exclamation×2]
 
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ストーリーは、サスペンス並みの緊張感を伴いつつハッピーエンドに向かうと思いきや、軍の最高機密として解読チームはすべての証拠を隠滅して解散。そしてアランは、ジョンとの婚約も解消する。
 
数年後、大学教授に収まり、研究に余念の無いアランが、突如逮捕される。容疑は「同性愛」の罪であった。当時の英国の法律により、ホルモン剤治療の名目で男性機能を剥奪された彼は、ジョンと再会した頃には廃人同様の生活を送っていた...英国を大戦の勝利に導いた影の功労者は、母国の法律により社会的に抹殺されるのだった...
 
少年時代の親友であり初恋の人であったクリストファー。その早世した彼の名を付けた暗号解読機と最期まで共にいたアランの哀しき生涯。社会順応性を持たずとも卓越した才能で、母国の平和に貢献できたのは、彼の中の純なる魂を認めた人々に恵まれたからであろう。ただ、その熱き情熱も時代の渦の中で、脆くも消し飛んでしまった。
 
カンバーバッチの名演と趣き深い演出により描かれた、機械と人間の狭間で揺れ動いた哀しき魂の末路に、涙を抑えることが出来なくなった「つむじ風」でした[もうやだ~(悲しい顔)]
 
同時に、同性愛者を社会的に抹殺し続けた英国の過去の恥部を、あえて外国人監督の視点から厳しく描かせ、自国スタッフで製作・公開する懐の深さと偽善的な興行主義の双方に思いを寄せつつ、「我が国でこんな芸当が可能か」とも考えるのでした[パンチ]
 
 
 

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