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『灼熱の魂』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督・脚本:ドゥニ・ヴィルヌーブ
原作:ワジディ・ムアワッド
製作:リュック・デリ キム・マクロー
撮影:アンドレ・タービン
音楽:グレゴワール・エッツェル
 
キャスト:ルブナ・アザバル 
メリッサ・デゾルモー・ブーラン 
マキシム・ゴーデット レミー・ジラール
 
初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワン(ルブナ・アザバル)は、ずっと世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌ(メリッサ・デゾルモー=プーラン)とシモン(マキシム・ゴーデット)にも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と二通の手紙を残してこの世を去った。その二通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていくのだった……。(goo映画より)
 
予告編から注目の作品[目]だったので、私にしては珍しく上映早々の観賞なのだ[ぴかぴか(新しい)]
 
 
 じっくり観るには相当な覚悟が必要である。
たぶん一度目の観賞と二度目では、作品から受ける衝撃が異なるかもしれない。というのは、この作品の心髄を読み解くには、日本人の我々は若干の予備知識もしく観賞後のお勉強が必要だと感じたからである。
そういう私は予告編の映像のみの知識しか持ち合わせない状態での観賞だったが、エンドクレジット時のやるせない動揺と絵も云われぬ感動は、最近の映画からは得られなかった大いなる「魂」の振幅として味わった。
 
母の残した遺書を巡り、双子の兄弟が若かりし母親の姿と自分達の出生の秘密を辿る設定となっており、その起源は1970年代のレバノン内戦に遡る。
この内戦はアラブ人同士のキリスト教・イスラム教の宗派対立と事実上の宗主国フランスからの独立が絡み勃発したが、当時の中東情勢に疎い東洋人にはどうしても劇中の切迫感を共有するのは、少々ハードルが高いかもしれない。
しかし、若かり母親ナワル・マルワン役のルブナ・アザバルの迫真の演技は、彼女の壮絶な人生を見事に表現しており、過去と現在の描写を巧みに組み合わせた演出が更に観る者を、ぐいぐいと作品に引き込んでいく。長尺と思われる131分は、あっという間に過ぎた。 
ひとりの女性の数奇な生き様を刻々と描きつつ、落とし所はミステリー仕立ての体裁なのだが、そんな陳腐な「ミステリー」などと云う言葉が霞んでしまう衝撃のラスト。 
 
神様の悪戯にしては惨過ぎる抗えない人間の縁(えにし)と血の成せる恐るべき奇跡。憎悪の連鎖を断ち切るのは、子を想う母の慈愛か、はたまた絶望の中で見つけた悟りに近い諦念か。
かよわき少女が、いつしか女戦士となり、最期には東洋的に云う「菩薩」に変貌するナワルの姿に涙を止める事が出来ない。
 
この作品の隠されたテーマ。
ギリシャ神話のエディプスの物語を知っていれば、更に深みが増すであろう。
そして数学者である双子が最期に辿り着いた答え「1+1=1」という公式の意味を解せれば、この作品が神の存在にまで問うた西洋的思想に立脚した壮大な現代の叙事詩である事に気付くのである。
原題「incendies」の意味は「火事」「炎」。砂漠で炎上するバスと満々とした水を湛えるプールの対比が主題を暗示する。
 
唐突に挿入されるレディオヘッド似の音楽を除けば、昨年の「瞳の奥の秘密」に匹敵する感動作であった[もうやだ~(悲しい顔)]
 
 
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non_0101

こんばんは。
早速ご覧になったのですね~
この作品はずっと気になっていました。
体力と気力を貯めてからチャレンジしてみたいです☆
by non_0101 (2011-12-23 22:18) 

つむじかぜ

>npon_0101様
重くて深い作品ですので評価が別れるでしょうが、私は魂が灼熱状態になりました☆
by つむじかぜ (2011-12-26 01:36) 

怪しい探麺隊

こんばんは。
今日仕事帰りに観てきました。正月1発目には重いのかなぁ...と思いながら出掛けましたが、想像の上の上を行く重さでズッシリ・ドヨーンと来ました。
(観ようと思っていたので、ここは読まないようにしていて、いま拝見しました。)
冒頭、バリカンで髪を刈られる男の子の踵の3連星タトゥーが意味ありげだなと思い、ジャンヌの指導教授の紹介のアチラの数学者が「力になれない。なぜなら当時はパリに居て…」となんだか変なことを言いだし、「1+1=1だから神が存在することが証明されて...」みたいな話をしだした時になんか引っ掛かるなぁーと思っていたら・・・・!!
一遍観ただけでは本当の意図が解釈しきれない感じだし、予備知識またはお勉強が必要というのは仰る通りです。
あぁ、どうしよう…、もう一回観るか...TOHOシネマズ・シャンテでは「永遠の僕たち」も気になるんだけれど...
by 怪しい探麺隊 (2012-01-07 01:09) 

つむじかぜ

>怪しい探麺隊様
本当にドォ〜〜〜ンと来る作品でしたね。
私も2回目を観たいような、でも神経がすり減るから遠慮したいような...
by つむじかぜ (2012-01-07 01:57) 

non_0101

こんにちは。
チャレンジしてきました~ ドーンとやられました☆
by non_0101 (2012-01-19 08:51) 

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