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『CUT』 [上映中飲食禁止じゃ!]

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監督・脚本:アミール・ナデリ
脚本:青山真治 田澤裕一 アボウ・ファルマン
撮影:橋本桂二
製作:ショーレ・ゴルパリアン 
  
キャスト:西島秀俊 常磐貴子
菅田俊 でんでん 鈴木卓爾 笹野高史 
 
映画監督の秀二(西島秀俊)は、いつも兄から金を借りて映画を撮っていたが、どの作品も商業映画として映画館でかけることさえできずにいた。そんなある日、秀二は兄が借金トラブルで死んだという知らせを受ける。兄はヤクザの世界で働いていて、そこから秀二のために借金をしていたのだった。秀二は何も知らずにいた自分を責め、兄のボスである正木(菅田俊)から、残った借金額を聞かされる。しかし、俊二には金を返す当てもない。彼は、殴られ屋をすることで返済することを決め、ヤクザの事務所内で働く陽子(常盤貴子)と組員のヒロシ(笹野高史)を巻き込みながら、殴られ屋を始める。殴られるたびに自分の愛する映画監督たちが撮った作品を思い浮かべる秀二。だが、借金返済はそれほど簡単なものではなかった……。(goo映画より)
 
「映画は売春じゃない、映画は芸術だ」
 

 
 昨今のバイオレンス映画とは一線を画した「芸術」作品なのだと思う。
 
イラン出身のアミール・ナデル監督と国内製作陣による狂気にも似た「映画への愛」を書き綴った激しい恋文。
しかし、この募る想いは、主人公が自己の肉体を極限まで傷つける事によって吐露されていくのだ。
 
兄の借金返済の為、殴られ屋となってヤクザの事務所に毎日通う秀二(西島秀俊)。兄の借金の原因が、自分の映画製作費だったと知り、兄が命を落とした事務所のトイレで、自ら進んで組員達のサンドバックとなる事を決める。
一発5千円。
映画狂を遥かに超越した異常レベルMAXの売れない映画監督役を、西島が熱演。殴られ続け意識が朦朧とする中で、頭をよぎるのは、巨匠達の名作の数々。結構筋肉質のイイ体をしている上に、神経は映画愛により麻痺しているので、痛みを感じない、倒れない〜不死身「明日のジョー」モード。鬼気迫る演技だ。
そして東映ヤクザ映画から抜け出して来たような菅田俊が、義理堅い弱小暴力団の組長を味わい深く演じ、往年の菅原文太を思い起させる。笹野高史はいつもの味でロートルやくざを演じ、角張った作品に丸みを持たせる。
さらに紅一点の常磐貴子が魅せる[ぴかぴか(新しい)] 
 
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ヤクザ事務所に働く組長の姪。死んだ秀二の兄に想いを寄せていたように想像され、無謀な秀二の借金返済に胸を痛めながらも力を貸していく。実の弟を慈しむような柔らかい包容力を情感たっぷりに演じた[exclamation×2]
元々は、狐系美女は苦手だった小生は、デビュー当時の彼女には全く食指が動かなかったのだが、結婚後の丸みをを帯びた美しさには眼を奪われる。 

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結婚してから輝きを増す女優さんって、素直に素敵だと思います[グッド(上向き矢印)]
40歳間際でこの可愛さは、特筆モノ[決定]
 
暴力シーンが頻繁に現れる割には、ストーリーは抑揚もなく淡々と進行していくように感じられる。まるで、小津安二郎へのオマージュ作品のように、静かな波に漂う枯葉の如く。世紀の名作シーンが随所に織り込まれ、特に日本映画監督、小津・黒澤明・今村昌平・成瀬巳喜男の名前も顔を出し、アミール監督の日本映画への愛情を感じると共に、彼らが世界に誇れる芸術家であった事が再認識される。
そしてラストの「パンチ100発を浴びながら映画100本を思い起すシーン」 これこそ、監督による不朽の名作100本紹介なのである。
因に、借金完済100発目のアミール・ナデル監督推薦のナンバーワン映画はオーソン・ウエルズ「市民ケーン」
映画への愛と怒りが交錯する巷のアクション映画とは全く異質の、映画好きならぐっと胸が熱くなる作品だった。 
現在の映画産業に対する深い憤りを、秀二の肉体を通して叩き付けた熱き映画人達による血まみれの連判状なのだ。
 
小生も共感する処、大である。
映画は娯楽の殿堂であり、作品の内容はエログロから文部省認定まで種々雑多バラエティに富むべきだ。ゆえに、個人的には評価できないような作品が宣伝効果により大ヒットしようが、私もそれを否定する事はしないし、かといって私自身も評論家を気取って文芸作品ばかりを観ている訳でもない。ジャンルに拘らずハチャメチャな嗜好で映画を選んでいるからこそ感動に出会えると思っている。問題は、今の映画界を支えるシネコンの多くが営利主義と製作会社との系列化に陥り、「売れるもしくは売りたい作品」しか上映しない事である。その為、多くの観客がこの時点で、作品を選ぶ選択肢の多くを奪われているのである。事実、近年の私の感動作の多くは全国ロードショーされないモノばかりだ。東京在住の為、都心のミニシアター通いが可能である私は幸運な事であるが、娯楽としての映画を復興するには、全国どこの街でも名作と出会える機会を増やさなくてはならないと信じる。
観賞料金よりもポップコーンの売上を気にするような腐った劇場は、眼を覚まさなければならない[パンチ]
 
当ブログカテゴリー名である「上映中飲食禁止じゃ!」は、元々そういう意味合いを含んでいるのである。
もっともっと映画を愛する人が増えるように・・・と、久々にこの映画に触発され怒るつむじかぜでした[ちっ(怒った顔)] 
 
 
 
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Labyrinth

> 「上映中飲食禁止じゃ!」

大賛成! \('∇'*) 

しかし、壮絶な映画のようですね !?
興味津々ではございます。f^_^;
by Labyrinth (2012-01-10 03:30) 

niki

ある意味、新しい視点の映画ですね。
作る側の愛情の深さは、本当に壮大ですね。
ストーリーも新しい感じがします^^
by niki (2012-01-10 09:02) 

怪しい探麺隊

この作品、予告編をどこかで観て気になっていました。(観に行くジャンルではないけれども...)

しかし若かりし頃の常盤貴子のウェスト、スゴイですね....(←そっちに喰い付くのか...  へそもカワイイな...)

by 怪しい探麺隊 (2012-01-10 22:32) 

つむじかぜ

>Labyrinth様

ご同意戴き、感謝感激(*^o^)!!
ひとりよがりはいけないのでしょうが、あのポップコーンの匂いと廻りを気にしないで
食べる無神経な音は、喫煙と同等のマナー違反と思うのです。
by つむじかぜ (2012-01-11 01:36) 

つむじかぜ

>niki様

仰る通り、過去に類を見ないタイプの作り手の想いのこもった激作です☆

>怪しい探麺隊様

私も、この「へそ」は大好きですな^^;


by つむじかぜ (2012-01-11 01:40) 

うた

東京在住の方は本当に羨ましい。地方でもスクリーンで見たんだよお〜とさけびたくなります。上映中にかさかさうるさいのは嫌なので、すいている日にしか行かないけど、マナー的に上映中はやめて欲しいな。待っている時間におにぎりは食べてるけど。3回見に行きましたど、私は西島氏のへその方が好きです。
by うた (2012-01-11 22:18) 

末尾ルコ(アルベール)

日本の文化状況は土俵際まで来ていると感じてます。
映画も含め、ここで引き戻さなければという思いです!

そんな中、つむじかぜ様のようなご見識の方がいらっしゃるのは頼もしい限り!

                                RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2012-01-12 01:04) 

つむじかぜ

>うた様

nice!&コメント、ありがとうございます。
うたさんのブログにも伺いましたが、西島氏への愛に溢れる内容ですね!
これからもよろしくお願いします^^

>末尾ルコ(アルベール)様

RUKOさんも憂える同士ですね!!!


by つむじかぜ (2012-01-13 01:39) 

non_0101

こんにちは。
この作品、凄く観たいのですけど、上映館が少ないのですよね(T_T)
映画館なのだからこそ、こういう作品をどんどん上映して欲しいです~

私も上映中のポップコーンは嫌です~
以前「あなたになら言える秘密のこと」という哀しい映画を観ていた時に、
かなり深刻なシーンで女性の人がポップコーンをガリガリ食べていて、
ちょっとびっくりしてしまいました^^;
by non_0101 (2012-01-13 08:59) 

つむじかぜ

>non_0101様

アメリカンスタイルの悪い影響でしょうか、残念な事です。
飲み物は譲歩しても、食事だけは控えたいですよね。
映画を愛する良識派の方々で、訴えていきたいです!


by つむじかぜ (2012-01-13 23:24) 

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